小容量直流安定化電源装置
電子回路の実験時にあると便利な直流安定化電源装置です。大型のモーターやスピーカなどを駆動させるのが目的ではなく、マイコンやロジックIC、LEDなどの「小容量」な実験に手軽につかうためのものです。電圧・電流をLCDに常に表示するため別途テスターなどが必要なくて便利です。
またこの電源装置は可変容量電流制限機能を備えており、出力可能電流を自由に調整できます。これにより回路に想定外の過大電流が流れるのを防ぎ、部品の使用法を間違えた時などに、その破壊を防ぐことができる場合があります。

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またこの電源装置は可変容量電流制限機能を備えており、出力可能電流を自由に調整できます。これにより回路に想定外の過大電流が流れるのを防ぎ、部品の使用法を間違えた時などに、その破壊を防ぐことができる場合があります。

これを作る以前に、スイッチングACアダプターの出力を3端子レギュレータで可変電圧にした大き目の容量の電源装置を作っていましたが、以下の目的でこれを作りました。
・小さい
・スイッチング特有のノイズが無い
・電流制限機能
特に電流制限機能は、市販の電源装置で高額なものに付いているときがあり、利用してみた時に便利だったので付けたいと思いました。
部品実験中に破壊してしまう状況の一つが下記のようなもので、僕はたまにやってしまいます。
①部品を逆刺しなど間違った使い方をする → ②過電流が流れる → ③過剰発熱 → ④素子破壊
これを①の段階で防ぐよう気を付けるのが一番ですが、万一間違えた時に②を食い止めるのがこの機能です。予想される電流を大きく超えることを防げるため、気づいてから電源を切っても素子を壊さずに済む可能性が高くなります。
トップの写真のLCD表示は、V:出力電圧、I:出力電流、Im:制限電流(mはlimitから。lはIと混ざるためmを使用)で、右のダイヤルが電圧、左のダイヤルが制限電流値調整用です。LCD表示と左右配置が逆ですが、出力用ターミナルの干渉があり右が操作しやすいため、使用頻度の高い電圧用ダイヤルが右にあります。
ここでの電流制限は、出力電流が設定値以上になろうとするとき、設定値より電流が大きくならないよう電圧を下げる、というようになっています。例えば、出力10[V]のときに100[Ω]の抵抗をつなげば、
I = V/R = 10/100 = 0.1
より0.1[A]の電流が流れるはずです。しかし、電流制限を0.05Aにせっていしていると、0.05[A]しか流れないよう電圧が下がるため、
V = IR = 0.05*100 = 5
より出力電圧は5[V]にまで下がります。
左下図は、無負荷時にV=10[V]、Im=0.05[A]に設定してあり、右下図もダイヤル位置は同じで出力電圧も同じはずですが、自動的に調整されています。

無負荷時電圧 100[Ω]接続時
この機能をこのように使う機会はほとんどないと思いますが、このような定電流回路を利用すれば、バッテリーの簡易充電器としての利用や、下記のようなLED点灯実験にも使えます。Vfに関わらずIfのみ指定すれば良いので、抵抗値の計算などを省けます。

無負荷時電圧 LED(公称Vf=2[V])接続
電流制限を含む出力全般の制御はアナログ回路で行っており、その値ををAVRマイコンATmega88Pで読んで表示します。電流制限などは、読んだ電流値が基準より上がったのをAVRが検知してシャットダウンする、と言う方法の方が簡単だったのですが、アナログの方が応答が早いと考えたのと、上記のような定電流電源としての使い方をできるようにするにはこの方が簡単と考えました。
アナログ回路のみの回路図は以下のようになります。
電圧制御は中央下にあるLM317を普通に用いたものですが、その電流を中央右の2つの合成抵抗(0.5[Ω])で監視します。電流に比例して増減するこの抵抗の降下電圧を、中央右端のオペアンプIC2Bで増幅した後、中央左端のオペアンプIC2Aで基準電圧と比較に掛けます。3つのパッドは可変抵抗に接続され、その分圧により電流制限に用いる基準電圧を決めます。この出力が、LM317の入力を制御する2SC3964に入り、過電流時はこのベース電流が抑えられることで出力が低下します。
典型的な定電圧回路と定電流回路の組み合わせ(電流優先)ですが、AVRで各値を読むために回りくどいやり部分もあります。また、LTspiceによるシミュレーション時は動作するものの実際は発振が起こり、それを止めるためにコンデンサが各所に入っています。カットアンドトライで発振を止めたので、不足や余分があるかもしれません。

アナログ部の回路図
回路自体はあまり大きくないので、コストパフォーマンスの良い、秋月のプラスチックケースに入れてみましたが、トランスや各種端子のスペースがあり、結構窮屈になりました。また、プラスチックケースに発熱部品を密閉しており、熱条件は最悪です。2時間ほど上記のLEDの実験をしていると、LCDのフレームに熱が伝わり温かくなっていたりします。時間があれば今度放熱用の穴をあけたりファンを付けたりしようと思います。

基板表 基板裏 基板側面 ケース内部
下記回路図中にある三つのパッド群は、左の3つは電流制限用可変抵抗、中央の2つが電圧設定用可変抵抗、右の2つが出力端子となっています。各可変抵抗の値は、使用するトランスの性能から出力可能範囲に合わせて下さい。AVRによる表示は、電圧0~20[V]、電流0~0.99[A]、制限電流0~0.99[A]まで対応しています。
2012/07/10 回路図、アートワーク修正
2023/03/18 回路図修正
回路図

アートワーク

プログラム
Power_supply.txt
hexファイルはアップロードの都合上拡張子を変えてありますので、「.txt」を「.hex」に変更してご利用ください。
ヒューズビット
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・小さい
・スイッチング特有のノイズが無い
・電流制限機能
特に電流制限機能は、市販の電源装置で高額なものに付いているときがあり、利用してみた時に便利だったので付けたいと思いました。
部品実験中に破壊してしまう状況の一つが下記のようなもので、僕はたまにやってしまいます。
①部品を逆刺しなど間違った使い方をする → ②過電流が流れる → ③過剰発熱 → ④素子破壊
これを①の段階で防ぐよう気を付けるのが一番ですが、万一間違えた時に②を食い止めるのがこの機能です。予想される電流を大きく超えることを防げるため、気づいてから電源を切っても素子を壊さずに済む可能性が高くなります。
トップの写真のLCD表示は、V:出力電圧、I:出力電流、Im:制限電流(mはlimitから。lはIと混ざるためmを使用)で、右のダイヤルが電圧、左のダイヤルが制限電流値調整用です。LCD表示と左右配置が逆ですが、出力用ターミナルの干渉があり右が操作しやすいため、使用頻度の高い電圧用ダイヤルが右にあります。
ここでの電流制限は、出力電流が設定値以上になろうとするとき、設定値より電流が大きくならないよう電圧を下げる、というようになっています。例えば、出力10[V]のときに100[Ω]の抵抗をつなげば、
I = V/R = 10/100 = 0.1
より0.1[A]の電流が流れるはずです。しかし、電流制限を0.05Aにせっていしていると、0.05[A]しか流れないよう電圧が下がるため、
V = IR = 0.05*100 = 5
より出力電圧は5[V]にまで下がります。
左下図は、無負荷時にV=10[V]、Im=0.05[A]に設定してあり、右下図もダイヤル位置は同じで出力電圧も同じはずですが、自動的に調整されています。


無負荷時電圧 100[Ω]接続時
この機能をこのように使う機会はほとんどないと思いますが、このような定電流回路を利用すれば、バッテリーの簡易充電器としての利用や、下記のようなLED点灯実験にも使えます。Vfに関わらずIfのみ指定すれば良いので、抵抗値の計算などを省けます。


無負荷時電圧 LED(公称Vf=2[V])接続
電流制限を含む出力全般の制御はアナログ回路で行っており、その値ををAVRマイコンATmega88Pで読んで表示します。電流制限などは、読んだ電流値が基準より上がったのをAVRが検知してシャットダウンする、と言う方法の方が簡単だったのですが、アナログの方が応答が早いと考えたのと、上記のような定電流電源としての使い方をできるようにするにはこの方が簡単と考えました。
アナログ回路のみの回路図は以下のようになります。
電圧制御は中央下にあるLM317を普通に用いたものですが、その電流を中央右の2つの合成抵抗(0.5[Ω])で監視します。電流に比例して増減するこの抵抗の降下電圧を、中央右端のオペアンプIC2Bで増幅した後、中央左端のオペアンプIC2Aで基準電圧と比較に掛けます。3つのパッドは可変抵抗に接続され、その分圧により電流制限に用いる基準電圧を決めます。この出力が、LM317の入力を制御する2SC3964に入り、過電流時はこのベース電流が抑えられることで出力が低下します。
典型的な定電圧回路と定電流回路の組み合わせ(電流優先)ですが、AVRで各値を読むために回りくどいやり部分もあります。また、LTspiceによるシミュレーション時は動作するものの実際は発振が起こり、それを止めるためにコンデンサが各所に入っています。カットアンドトライで発振を止めたので、不足や余分があるかもしれません。

アナログ部の回路図
回路自体はあまり大きくないので、コストパフォーマンスの良い、秋月のプラスチックケースに入れてみましたが、トランスや各種端子のスペースがあり、結構窮屈になりました。また、プラスチックケースに発熱部品を密閉しており、熱条件は最悪です。2時間ほど上記のLEDの実験をしていると、LCDのフレームに熱が伝わり温かくなっていたりします。時間があれば今度放熱用の穴をあけたりファンを付けたりしようと思います。




基板表 基板裏 基板側面 ケース内部
下記回路図中にある三つのパッド群は、左の3つは電流制限用可変抵抗、中央の2つが電圧設定用可変抵抗、右の2つが出力端子となっています。各可変抵抗の値は、使用するトランスの性能から出力可能範囲に合わせて下さい。AVRによる表示は、電圧0~20[V]、電流0~0.99[A]、制限電流0~0.99[A]まで対応しています。
2012/07/10 回路図、アートワーク修正
2023/03/18 回路図修正
回路図

アートワーク

プログラム
Power_supply.txt
hexファイルはアップロードの都合上拡張子を変えてありますので、「.txt」を「.hex」に変更してご利用ください。
ヒューズビット
Low | High | Ext |
E2 | D7 | F9 |
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